他校の君。【完】
Side 一臣
(やばい…)
香澄が本気で泣きはじめた。
相当恐いらしく、うさぎを落とした事にも気付いていない。
泣きだした香澄に幽霊に紛していた人もやり過ぎたと悟ったのか、俺に片手でゴメンと言う仕種をしてからササッと離れて行った。
「もう、お化けやだぁ!」
わんわん泣きながらギュッと俺に抱き着いて来る香澄。
(胸当たってんだけど)
と、思いつつもここに香澄を無理矢理連れ込んだのは俺で、からかったのも俺だからそんな冗談言えねーし、言える状況でもない。
幽霊役の人は仕事でやっただけだしな。
「香澄」
「あ"ーん!」
「…ゴメン」
「やだぁ!出る!もう出るぅ!!」
混乱状態の香澄は俺の言葉を聞く余裕すらないらしい。