他校の君。【完】


…こんな時どうすりゃいいんだよ。

少し困惑しながらも抱き着いてくる香澄に手を伸ばして抱きしめてみる。

小さい子って抱きしめると安心して泣き止むって聞いた気がする。

香澄は実際は小さい子じゃねーけど…。

腕に少しだけ力を込めて、


「ごめん」


もう一度謝ると、わんわん泣いていた香澄がピタリと止まった。


(効き目あったか…?)


近くの燈籠のお陰で少しだけ見える香澄の顔を覗き込むと、何故か固まっている。

効き目があったかどうか分かんねーけど、


(今のうちに出るか)


落ちたうさぎを二つとも拾い、固まり続ける香澄の腕を引っ張り出口に向かって歩き出した。


< 85 / 299 >

この作品をシェア

pagetop