君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
月影の庭に降り立ったその人は、
「それとも、そんなざまでまだ僕に勝てるとでも思ってるの?」
傲慢な態度と声で、言い放つ。
藤紫の狩衣に袴、烏帽子をかぶった小柄な少年だった。


でも、
その顔は…声は…、
「むらさき?!」
マーナオは驚愕にそう叫ぶ。


マーナオのその言葉に少年はつかつかと歩み寄り、マーナオの肩口を蹴り飛ばした。

仰向けになり痛みに顔を歪ませるマーナオを見下ろして、
「僕の名前はゆかり。
加持祈祷を生業とする高月(こうづき)家次期当主 高月 紫(ゆかり)だ」
そう宣言した。
< 17 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop