君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
ゆかりが、手に持った幣をマーナオの胸部の印の集中した場所へと降ろす。
すると、幣はそのままマーナオの身体へと吸い込まれていった。

紅の印の上を紫色の光が滑走する。


月光のダメージに魔力の枯渇、そこに術式を書き込まれ、マーナオは意識を手放した。


動かなくなったマーナオを見下ろしながら、ゆかりはため息を付いた。

「本当に…馬鹿だなぁ」
それは、本気で馬鹿にした声音ではなかった。

「馬鹿だよ…」

月夜の静寂のせいか、その声は寂しく響いた。
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