君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
目が覚めて気づく。


あぁ。
夢だったのだ。

今のも。

あの、笑顔も。

あのフワフワとした日々は、今はもう悪夢にしかすぎない。


マーナオは感傷に浸る気などない。今は己が身の無事が先決だ。

灯りもない暗い部屋で鼻の先も見えない。
板敷きの上に寝たままで意識を研ぐ。

四方を囲まれ、四隅には触ると痛む気配。これが結界の要か。

それを外しながらさらにその先へ。



たすたすと音を立てながら、誰かが来る。
それは振動から耳に直に聞こえるようになり…


「コラァ!勝手にホイホイ気配飛ばすな!」
御簾を押し上げてゆかりが怒鳴り込んできた。
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