君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
「分かった。取り引き成立だ」
マーナオの台詞にゆかりの眉が跳ね上がる。
「はやいなぁ。説明は終わっていないのに」
「お前の条件が何にしろ、自由への選択肢がそれしか無いんだろ?」

マーナオにしてみれば酷い話なのだ。人間がその短い生涯を終えても、次々と引き継がれマーナオは使役され続ける。
それなら、コイツの気に入るようにして、体に打ち込まれた呪詛を解除して貰う方が良い。

気に食わない話になった時には抵抗するつもりだが。


「ありがとう」
ゆかりが笑う。それはむらさきの無邪気な笑顔に似て、
「願いが叶えば充分なんだ。君を自由にする。約束するよ」
話すことすら魔性に配慮する。

こいつは本来ならむらさきの様な心根なんじゃないだろうか。
この宴席の世界が異常なのだという事は、人間ではないマーナオにでも分かる。
この世界に生きるつもりなら、きっとこれでは駄目なのだ。
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