君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
「ヒトみたいな子だね」
獣の魔性が女の声で話した。

「話せるのか」
「あんたもじゃないか。
ま、力が有ってもヒトの巧妙さには勝てないけどねえ」
マーナオの問いにそう答え、彼女は楽しそうにくっくと笑った。

姿が有って力が有り、知恵も有ろうに、
「足りないのは誇りか」
吐き捨てる様なマーナオの呟きは術の所為もありか細く、彼女には聞こえなかったのだろう。

それとも無視したか。

笑っていた魔性は静かに身をこごめ臨戦態勢に入る。
「主の命令だ。殺す気でいくよ」
目は鋭く全身の筋肉が引き絞られる。

一段と空気が冷えた気がした。
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