君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
一方のマーナオと言えば、
いつも通りの様相で先程と同じ様に突っ立っている。

ふと見れば、ゆかりが何か言っているのが見えた。が、なにせ距離が有りすぎる。

また何か小言だろうと、マーナオはほうっておくことにした。
いや、相対する彼女からの殺気が視線を逸らすことを許さなかったせいもあったか。


時が満ちたか、獣の魔性が地を駆けた。
高速の体当たりなのかブレがない。フェイントも無しの移動は、先程の会話から浮かぶ彼女のイメージからかけ離れている。

―様子見か?

マーナオはノーモーションから迎撃の蹴りを放ったが、彼女は身体を捻り上げて避けた。

追撃は危険だろうな。と、マーナオは判断し、
獣の魔性は避けた勢いで後方に大きく飛び上がる。

接触なしのままで二人の距離が戻った。
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