君は僕のお姫様 〜紫月妖怪退治〜
清媛の瞳は冷静だった。まだ、不確定。
マーナオは次に左右に振りながら仕掛ける。じりじりと死角を狙えば、清媛はいなすように避けながら当たれば御の字程度の軽い攻撃を放つ。
膠着かとも思わせる応酬は、マーナオが距離を取って一時止む。
「どうしたの?」
清媛が口を開く。
「…」
「手詰まりなら、逃げなさいな。奥の手なら、食らう前に出しなさい」
清媛が口を笑みの様に開け、そこから拡散するように煙が漂い始める。
それは燃焼に伴う排出物ではなく、温度差が生み出す小さな氷の群だった。
「マーナオ!」
ゆかりの呼び声は、弊と遠く微かな声の二重音声になっていた。
丁度清媛の後ろに屋敷の縁で叫ぶゆかりが見える。戻れと繰り返す声は悲痛を含み、遠目で見える顔は泣きそうだ。
「信用しろ」
「え?」
マーナオの言葉にゆかりが間抜けな声を出す。
何を?と、ゆかりが続ける間もなく、清媛が仕掛けた。
マーナオは次に左右に振りながら仕掛ける。じりじりと死角を狙えば、清媛はいなすように避けながら当たれば御の字程度の軽い攻撃を放つ。
膠着かとも思わせる応酬は、マーナオが距離を取って一時止む。
「どうしたの?」
清媛が口を開く。
「…」
「手詰まりなら、逃げなさいな。奥の手なら、食らう前に出しなさい」
清媛が口を笑みの様に開け、そこから拡散するように煙が漂い始める。
それは燃焼に伴う排出物ではなく、温度差が生み出す小さな氷の群だった。
「マーナオ!」
ゆかりの呼び声は、弊と遠く微かな声の二重音声になっていた。
丁度清媛の後ろに屋敷の縁で叫ぶゆかりが見える。戻れと繰り返す声は悲痛を含み、遠目で見える顔は泣きそうだ。
「信用しろ」
「え?」
マーナオの言葉にゆかりが間抜けな声を出す。
何を?と、ゆかりが続ける間もなく、清媛が仕掛けた。