君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
ビリビリと音がした。
小雷の駆ける音だ。

清媛の目にマーナオが写る。
至近距離まで接近したマーナオは、雷か炎を纏っているように見えた。


何故にと思わせる間など与えない。

マーナオの打ち抜く脚が眉間を捕らえる。
のけぞる頭が弾けた気がするが、凍りかけた脚は止めない。止める余裕はない。
そのまま同じ右脚で喉、心の臓に打ち込み、そのあたりで右の脚が完全に凍る。


蹴りの力は清媛に全て打ち込まれ、反動でマーナオは後ろに吹っ飛ぶが、何とか左脚と腕で無事に着地した。

マーナオの白い肌は裂け血が滲み、右の脚は凍っている、
一方、清媛は力が失せたか、型を保てずぐずぐずと崩れ落ちた。


マーナオの瞬間的な加速が清媛の予測を凌駕して、軍配はマーナオに上がる。
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