君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
「ま、マーナオ!」
弊からゆかりの声がする。涙声だ。

これで十分だろ?
力は上手く示せたはずだ。

マーナオは、労いや感謝や祝勝の言葉を予想したのだが、

「このアホー!」

罵倒が来た。

「主の僕の命令を無視するな!」
甲高い涙声で怒る。本気で死ぬと思っていたようだ。

確かに屋敷からは清媛の陰になって、どうやって勝ったのか詳しく見れなかったかもしれないが。

「当主を止められたのか?清媛は殺る気だったが?」
マーナオが意地悪につつくとゆかりは押し黙ってしまった。

「だいたいこの殺気まみれの中、無事にいられる気がしないな」


いまだ、殺気立った空気は消えない。
清媛が弱いとは思えないが…

―俺が無力とまだ侮るか

マーナオの自尊心が静かに燃える。
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