君は僕のお姫様 〜紫月妖怪退治〜
宴の合間を縫って進むと、何人かがゆかりに労いや祝辞を述べに訪れた。
「味方、居るんだな」
マーナオには敵意や悪意ばかりに見えていたが、
「僕は此処で育ったんだ。普通とは違うかもしれないけど、一族で家族だ。
損得ずくだけの人間ばかりじゃないよ」
ゆかりは少しはにかみながら答えた。
屋敷の表に出ると牛車が回されていたが、門を出た所でぴたりとゆかりが足を止める。
マーナオから見れば下を向いているのも手伝って烏帽子しか見えなかったが、どこか泣いているようにも見えた。
「父上に言われた…。
使役に意志を残すなら、信頼せねばならぬ。って」
声も小さい。
「ごめんなさい。マーナオ」
むらさきを思わせる、優しく柔らかい声。
マーナオは思わずむらさきと呼びそうになり、慌てて引っ込めた。
その為少し間が空いてしまう。
「駄目ねぇ。坊や」
不意に頭上から声がした。
「味方、居るんだな」
マーナオには敵意や悪意ばかりに見えていたが、
「僕は此処で育ったんだ。普通とは違うかもしれないけど、一族で家族だ。
損得ずくだけの人間ばかりじゃないよ」
ゆかりは少しはにかみながら答えた。
屋敷の表に出ると牛車が回されていたが、門を出た所でぴたりとゆかりが足を止める。
マーナオから見れば下を向いているのも手伝って烏帽子しか見えなかったが、どこか泣いているようにも見えた。
「父上に言われた…。
使役に意志を残すなら、信頼せねばならぬ。って」
声も小さい。
「ごめんなさい。マーナオ」
むらさきを思わせる、優しく柔らかい声。
マーナオは思わずむらさきと呼びそうになり、慌てて引っ込めた。
その為少し間が空いてしまう。
「駄目ねぇ。坊や」
不意に頭上から声がした。