君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
見上げれば青白い木菟が、屋敷の門に止まっていた。

姿は違うが、声も感じも、
「清媛」
マーナオが確信をもって呼ぶと、
「あら。名前を呼ばれるなんて嬉しいわねぇ」
清媛は少し艶っぽく笑い。
「でも、男前なだけじゃね?こういう時は慰めなくちゃ駄目じゃない。
主は大事にしなさいな。良くも悪くも私達の力になる方よ」
清媛は翼を振ると、そのまま飛び立った。


見送って視線を戻すと、ゆかりが意外そうな顔で見上げていた。
そして、
「マーナオって男前なの?」
「さあ?」
二人揃って明後日な話題の方を拾う。


「信じるって難しいね」
ゆかりが呟く。
清媛は慰めろと言ったが、マーナオに人間の事はよく分からなかった。
だから、
「良いんじゃないか?
俺とお前は今し方契約したばっかりじゃないか」
素直に言った。
もう、むらさきとマーナオではないのだ。と。
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