君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
またゆかりは下を向いたが、すぐさま前を向く。
「良くも悪くも、主。か」
そう独り言のように言うとマーナオを見上げ、
「頑張るよ」
そう言い切った。
「俺も」
マーナオは合わせてやった。それでも、言葉だけでも、何やら変わってしまった気がする。


ゆかりが牛車に向けて歩を進めたので、肩を借りているマーナオもまた歩き出す。
「そうだ!その『俺』って止めて。田舎丸出しだから」
「なんで」
「『僕』にして」
マーナオが憮然として顔を逸らすと、ゆかりはむくれて、
「令…」
「だから、何でお前はそんな事に使うんだよ!」


待っている牛車の中から、行きとは違う二人の様子を侍女が不思議そうに眺めていた。
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