Heavenly white
落ちる…
あっさりとこんなにも好きになるなんて
思ってもみなかった。
あんな女に惚れるなんてな。
可愛いからとかそんなんじゃない。
存在が俺を狂わす。
頭の中がアイツのことでいっぱいだった。
いつの間にかアイツのこと考えて、
悩んで、結局は恋をして。
桐生と話してると楽しい。
桐生の笑顔を見るとドキッとする。
桐生の声を聞くと振り返ってしまう。
桐生を見つけると声をかけたくなる。
そういう衝動に駆られる。
桐生はきっと俺を最低な奴としか認識してないし、
高山が好きだし、完璧俺は振られるけど
負けたくはなかった。
引き返したくはなかった。
俺が桐生にムカついてたのは多分、絶対に勝てない
高山が相手だったからだ。
いつも高山には勝てない。
「…朝練こんなとこでサボってんのか?」
グラウンドにある木の下でぼーっとしていた俺に
高山が声をかけてきた。
そういえば今日は朝練の日だ。
完璧忘れてた;
「おー…」
「堂々と部長にそんなこと言うなよ」
「うるせーよ」
「最近…後藤上の空だけど、なんか悩みあんの?」
直球すぎるな、うちの部長さんは。
「俺さ…やっぱ高山には勝てないな」
「なんのことだよ?」
「…全部」
「サッカーで俺に勝ったことあったっけ?」
「ねえよ?だから頑張ってレギュラーまできたんじゃん」
高山には才能があるし、俺が負ける要素なんてたくさんあるんだ。
でも…やっぱ桐生だけはやれねえや。
「お前はサボり癖あるけど人一倍努力する奴だ、いつか俺を越えてみろよ」
勝ち誇ったように高山は笑った。
桐生は高山のこんなとこにも惚れたんだろうな。