Heavenly white
教室へあがるとそこには窓の外を見つめる…
桐生の姿があった。
俺の視線に気づいた桐生はこっちを見つめ返し
また空を見つめた。
俺は桐生に近づいた。
「お前さ~友達いねえのかよ」
「空見るの好きだからいいの!それに友達いるし」
「…飛鳥ってコ?」
「そうそう」
確か信樹が好きだって言ってたコ。
この際だから信樹に協力してやるか。
「そういえばな、信樹が飛鳥チャンのこと好きなんだって」
「ほんとに?」
「嘘だと思うんなら信樹に確かめてみろよ」
「これ言っていいのかわかんないけど…飛鳥もだってさ」
よかったな、信樹。
俺に感謝しろ。
お前には言わねえけどな!
「じゃああいつら早く付き合えよなって感じだな」
「飛鳥とはクラス違うしね~会う機会ないんだよ」
「そっか」
「…アンタは好きな子できたの?ってできるわけないか!」
そういうと桐生は笑った。
「できたよ。…よくわかんねえけど」
お前だって言ってしまいたい。
いつもの俺なら言えるのに。
これがいつもの罰ゲームなら言えるのに。
桐生が相手じゃ言えるわけがない。
泣かせるだけだ。
俺がもっと大人なら抱きしめて泣くなって言ってやれるのに。
俺はまだまだ餓鬼だから。
中学生の俺には何もできない。
俺にできないことなんか、ない。
そうだったはずなのに。
「アンタなら大丈夫だよ…落ちない女はいない」
「いるよ」
「いないよ…アンタだってやればできる奴だよ」
ああ、俺はなんでいつもこうなんだ。
桐生…お前だよ。
簡単に言えるわけもなく。
俺はひたすら君に落ちて行った。