Heavenly white
泣き顔
俺は授業中桐生の横顔を見ていた。
席は遠いけど後ろから見える桐生の横顔が
無性に可愛く見えて…
桐生はずっと外を見ていた。
時々クスッと笑ったりしていて。
やっぱり古典は耳に入らない。
外から聞こえる体育をしている生徒の声にかき消され
俺の心臓の音にかき消され
最後はチャイムにかき消された。
そういえばさっき外で体育をしていたのは
高山のクラスだ。
そうか…高山を見て笑っていたんだ。
「イチ~お前ずっと優季見てただろ」
「お前は俺がそんなに好きか」
「おう!」
「…お願いだから否定してくれ」
「えーつれねえな!お前は」
「ほっとけ」
「俺さ~今日の昼飛鳥チャンと食うんだけどお前も来いよ!優季連れてくるらしいし」
「…巻き込むな」
若干ドキッとした。
めんどくせーけど、桐生がいるならいっか。
「頼むよ!」
「まーそこまで言うなら別にいいけど」
「素直じゃねえよな~」
「お前つくづくウザい」
「俺泣く…」
こいつの無自覚なのかもしれねえけど
時々変に気が利くところがいいところだ。
俺はそんなこいつが嫌いじゃない。
言葉にはしてやらねえけど。