一枚の壁
「僕から君に話がある。
ハンスは君のお腹の子を認知したいと言っていた。
自分の遺族年金の受取人にして、自分に何かあったらその子の養育費にと。
だが僕は反対した。
君のお腹の子は僕が認知したいと言った。
君はどうしたい?
ハンスは君に判断を委ねると言ったから」
「私は…
ハンスには認知を求めません。
でもフェルディナンドさん、貴方に認知して頂く訳には参りません。
私のお腹の子は私だけの子です。
だから、ハンスにはそう伝えて下さい。
私はこの子がいるだけでいいですから…」
「クリスティーナ。」