一枚の壁






クリスティーナ・アーベル様











この手紙は検閲に引っかからないようにフリッツ大佐から圧力をかけてもらった。


亡命の事も大佐はご存知だ。

親父さんの逮捕の件は、もう俺には止められないところの話なんだ。


力になれず、すまない。




でも、君たち家族が無事にスイスにたどり着ける事を祈っている。


俺は今、ポーランドにいる…


君を忘れた日は一度もないんだ。





離れていても、俺の愛する人は君だけだ。










では、永遠にさようなら。










ハンス・ブロイルより






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