一枚の壁
「この海で何人の人が死んだんだろ?」
「多いでしょうね。
戦争なんてやめればいいのに…
戦争で何が得られるの。
人の命より大切なものなんてないのに。」
「僕はわかるよ、戦争をする理由が。
他の国に負けたくないんだよ、きっと。」
「負けたくないか…
生きると決めたら何があっても生きようね。
家族みんなで生きてドイツで会うのよ。」
「うん。
そのためにはこの海を越えないと」
『―――ドイツの戦闘機だ――――!』
「姉ちゃん!!」
「ルドルフ!!」