一枚の壁
おばあ様から貰った、ありったけのお金を握りしめて電話をかけるために走った。
僕は英語は得意だから意志は十分通じだ。
「ドイツのベルリンに電話をかけたいのですが…」
「申し訳ありませんが、繋がるかわかりません。
それでもいいですか?」
「フリッツ・ゲルトルート。
ベルリン・1531-63-025
です」
「……
繋がりました。」
「ありがとう。
――
もしもし?」
「フリッツだ。
クリスティーナか?」
「違います。
ルドルフ・アーベルと言います。
クリスティーナの弟です。」