一枚の壁
「わかった。
お前が話せないというなら、お前の姉さんをここに呼ぶ。」
「姉さんは関係ない!」
「じゃあ、吐くんだ!」
「わかった。
姉さんの子どもの父親はナチスの軍人で…
電話をしたのは、フリッツ大佐に、言付けを頼むためだよ。
フリッツ大佐はハンス兄ちゃんの上官だから。」
「それだけか?
それだけのために、フリッツ大佐は国家反逆罪の危険をおかしたのか?」
「そんなの、僕に聞いてもわからないよ。」