一枚の壁
1918年に生まれた私は、幼い頃から洋服が大好きだった。
何より好きだったのは、弟のルドルフの服をつくる事。
『クリスティーナは、おっきくなったら何になりたい?』
ママが聞いた。
「うーんとね、うーんとね…
エリーナ叔母さんのお店のお針子さんと、ハンスお兄ちゃんのお嫁さんと、お花屋さんと...」
『そんなに沢山、なれないわよ。』
「じゃあ、エリーナ叔母さんのお店のお針子さん!」
『でも、ハンス君は…
いいのかしら?』
「ハンスお兄ちゃんのお嫁さんにもなるもん!!」
ハンスお兄ちゃんとは…
ハンス・ブロイル
私の幼なじみ。
私より二つ上でお兄ちゃんのような存在。
大好き。
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