一枚の壁
『その人の名前は?』
「ハンス・ブロイル。
二十歳です…」
『ハンス?
ハンスの親父さんは電気技師ですか?』
「そうです。
私の父と同じ…」
『ハンス、高校時代の親友だ…
昨日も飲みに行ったよ。
ハンスから婚約の話は聞いたけど…
よりによって、クリスティーナがハンスと婚約するなんて…
勝ち目がないよ』
「えっ!」
『君が好きだったのにな。
ハンスの婚約者になってしまうなんて…
悔しいよ』
「フェルディナンドさん。。
知りませんでした」
『フェルディナンド!
クヨクヨしてないで早くクリスティーナを送ってちょうだい!!』
痺れをきらしたエリザが言った。
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