一枚の壁
ベルンハルト先生は、妊娠しているかどうかの検査をしてくれた。
『クリスティーナさん、今の段階では断言はしにくい。
だが、可能性は極めて高いね』
「そうですか。。
嬉しい」
『なら、良かった。
私は産婦人科の専門医ではないから、紹介状を書くよ。
きみの家の近くでいいかい?』
「はい。
ベルンハルト先生の紹介なら安心です」
『きみのおじいさんには世話になったからね。
これぐらい平気さ』
「おじいさまは、ベルンハルト先生になにかしたんですか?」
『きみたちが住んでいる家を建てる前の家に、無料で下宿させてもらってたんだ。
だから、きみのお父さんとは長い知り合いさ。』
「そうなんですか」