一枚の壁
電報をおくった数時間後、ハンスから慌ただしい電話がかかってきた。
私はママから電話を譲られ、ハンスと話す。
『もしもし?
クリスティーナ』
「もしもし…
ハンス?」
『久しぶり。
しばらく君の声を聞いていなかったら、寂しくて死んでしまいそうだったんだ。
でも、なかなか忙しくて。君を顧みる時間もなくて…
フリッツ大佐は人使いが荒いからイヤになるよ(笑)良い方だけどね。
俺ばかり話してない?』
私はハンスの声が聞けたことに安心して泣いてしまっていた。
「ごめんね、ハンス。
泣いてしまってたわ…」