valentine×kiss×2


「だ、だれ?」

「…………」

何か怖い。
すぐに外へ出ようと出口に向かう私の体を。

「うっぎゃ!!」

誰かが後ろから抱きついて来たんだ。

「色気のない声だなぁ」

「か、釜石さん? 何してるんですか!!」

私の動揺も気にもせず、後ろから耳に息を吹きかけながら、言葉を繋ぐ。

「何って? 抱きついてるんだよ。さえちゃん、かわいいもん。スタイルいいよねぇ。胸も意外とあるよね。おいしそう」

「止めて下さいよ!!
釜石さんて変態?」

「変態は酷いなぁ。まぁ、否定しないけど。最初は君だって、オレに触れられて喜んでたじゃん」

それは最初だけだ。スキンシップが酷すぎる釜石さんを、なるべく私は避けていた。

き、気持ち悪い。

「止めて下さい!!」

「イヤだ。オレと付き合ってよ」

「ごめんなさい。イヤです」

「ハッキリ言うねぇ」

"チクッ"

「え?」

「キスマーク付けちゃった。アイツら焦るだろうなぁ」

ふふふと笑うこの男、変態要注意人物だ!!

私は釜石さんを突き飛ばすと、チョコを拾って慌てて外へ逃げ出した。

「ふっ。逃がさないよ」

釜石の気味悪い笑いがバックヤードに響いていた。

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