valentine×kiss×2
「何でオレがキスするのかって?」
男の顔をしたまま、彼はたんたんと話す。
「釜石さんにキスマーク付けられてたでしょ?」
え?バレてたの?
恥ずかしいじゃん。
「顔が赤いよ。釜石さんの事好きなの?」
今度は泣きそうな熊ちゃんだ。
だから、
どうしてそんな顔するの?
「ちがう!!」
私は誤解されたのが悔しくて、大きな声を張り上げた。
「じゃ。何でキスマークな訳?」
「それは勝手に!!」
あの時を思い出して、私は悔しそうな顔をしてたんだと思う。
「ごめん。オレも最低だよね。釜石さんに嫉妬して同じ事した。
さえちゃんが釜石さんに取られたんだと勘違いして…」
そんな、すまなそうな顔したって許してあげないよ。許してあげない…。
でも…。
普段の熊ちゃんは私にとって、人懐っこくて、頼りがいもある、かわいい弟だ。
「確かにオレは弟に立候補した。でも1人の男でもあるんだよ」
「オレとの事も考えてよ。付き合って?」
最近何が起きてるんだろう? ダメだ。頭の思考回路がおかしい。
熊ちゃんの事はキライじゃない。
でも…
私は…?
「ごめん。私、混乱してる。返事は少し待って?」
私は熊ちゃんを見上げながら、お願いしてたらしい。
かなり混乱してたし、無意識だったのかな?
私はこの時の記憶があまりないんだ。