valentine×kiss×2


「何でオレがキスするのかって?」

男の顔をしたまま、彼はたんたんと話す。

「釜石さんにキスマーク付けられてたでしょ?」

え?バレてたの?
恥ずかしいじゃん。

「顔が赤いよ。釜石さんの事好きなの?」

今度は泣きそうな熊ちゃんだ。

だから、
どうしてそんな顔するの?

「ちがう!!」
私は誤解されたのが悔しくて、大きな声を張り上げた。

「じゃ。何でキスマークな訳?」

「それは勝手に!!」
あの時を思い出して、私は悔しそうな顔をしてたんだと思う。

「ごめん。オレも最低だよね。釜石さんに嫉妬して同じ事した。

さえちゃんが釜石さんに取られたんだと勘違いして…」

そんな、すまなそうな顔したって許してあげないよ。許してあげない…。

でも…。
普段の熊ちゃんは私にとって、人懐っこくて、頼りがいもある、かわいい弟だ。

「確かにオレは弟に立候補した。でも1人の男でもあるんだよ」

「オレとの事も考えてよ。付き合って?」

最近何が起きてるんだろう? ダメだ。頭の思考回路がおかしい。

熊ちゃんの事はキライじゃない。

でも…
私は…?

「ごめん。私、混乱してる。返事は少し待って?」

私は熊ちゃんを見上げながら、お願いしてたらしい。

かなり混乱してたし、無意識だったのかな?
私はこの時の記憶があまりないんだ。

< 15 / 40 >

この作品をシェア

pagetop