valentine×kiss×2
周りを見渡すと、私と同じ、焦げ茶と薄ピンクのギンガムチェックのバンダナを頭に巻いて、同じ柄のエプロンをした男の子が2人いた。
あの子達もバイトかな?
「香川くん、熊田くん、こっち来て」
「「はい」」
そんな私の疑問に気付いたように、釜石さんは2人を呼んだ。
「今年のバイトは3人だから。後は社員やパートさんで回していきます。早く仕事が覚えられるように頑張って下さい」
バレンタイン売り場で、男の子の売り子なんて珍しいな。
なんて思いながらも、同級生の香川くん、私、北田。そして年下の熊田くんで、
何故か?みなさんから名字の頭文字を取って"かきくトリオ"と呼ばれる羽目に。
"かきくトリオ"て。
あと"け"と"こ"がいれば
"か行"てこと?
意味不明だなと思いながらも、一人っ子の私は兄弟が出来たみたいで、それからの毎日が楽しくて、
意外と2人との関係は、私にとって居心地のよいモノになっていったんだ。