valentine×kiss×2
ドキン。
あっまただ。
ここ数日は、バレンタイン本番が近いためお客様も多く、売り場の中はバタバタしてて、
よく人にぶつかったり、包装紙取る時に手が触れたりしてたんだけど。
香川くんに触れると、何だろう、妙に恥ずかしい。意識しちゃう。
「あ!ごめん」
「いや。オレこそごめん。それにしても、めっちゃ忙しいよなぁ」
「ね。私なんか体がフラフラするよ」
手は動かしながらも、多少のお喋りタイム。
「大丈夫かぁ。
ったく体力ないなぁ」
香川くんが屈託なく笑う。
「もうおばさんかしら?」
「おぃ、北田。お前、あっちのパートさん、みんな敵に回すぞ!!」
なんて言いながら、カウンターの向こうにいっぱいいるお客様に見えないように、
下を向き、お互い顔を見合わせながら、こっそり笑い会った。
この笑い顔、やっぱり好きだな。
香川くんの持っている雰囲気はやっぱり好きだ。
この時はまだ気付いてなかったのかもしれない。
自分の気持ちも。
香川くんの気持ちも。
そして、熊ちゃんの思いも。
変態、釜石さんの気味悪さも。