Ⅹ(クロス)
「あいつが現れたのが、何よりの証拠だ。

あいつが本当にクロスだとしたら、ラドニアの大地は絶体絶命の危機に瀕している事になる。」

ジャコスはリディアの去った方に視線を移して続ける。

「俺達ナユタは、一度は大陸の奴らに負けた。

そして、ラドニアのジプサムを奴らに渡してしまった。

その結果がこれだ。

二度目は有り得ない。

次に俺達が奴らに負けて、あのセシリアの精霊が奴らに渡ったらどういう事になるか、お前にだって分かるだろう。」


「ジャコス・・・

お前、ユウリを引き込むつもりか?!」

ブロスはジャコスを睨む。


「それは、こいつ次第だ。

ただ、仮にあいつがクロスだったとしても、決して不死身なわけじゃねェ。

戦える仲間は、多い方がいい・・・。

それに・・・あいつを連れて来たのは、こいつだしな。」


「連れて来たって・・・俺は、あいつとは・・・」


「関係ねェ奴を、わざわざ命がけで助けてこねェよな。

さぁ、話してみな。いったい何があったのかをよ!」


ジャコスはギロリとユウリを見ると口端を上げた。
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