Ⅹ(クロス)
「あ…あの…私・・・」

言いかけてリディアは眉をしかめた。

「ぁ!…」

小さな悲鳴のような声を出し、リディアは急いで出窓に身を寄せて外を見る。

その表情は強張り、顔色はどんどん青ざめていく。

そしてくるりと振り向くと震える声で訊ねた。


「あの、ここはどこですか?

私は・・・いったいどこから来たんでしょうか。

私は…私は…」


「お前、覚えてねェのかよ!」


「ぇ?!」


アコーディオンカーテンの向こうから ぶっきらぼうな声が響く。


――カチッ シュッ


「ユウリくん、禁煙ですよ。」

ライトが瞬時に言う。


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