Ⅹ(クロス)
ふぅ…という溜め息と共にカーテンの端が持ち上がると、ざっと横に開かれる。

そこにはブロンドの髪の青年が立っていた。


リディアは握った手を口にあて、怯えた目で見つめる。


「おぃ…俺の事もかよ…
まあ、色々あったから無理もねェけど、お前、せめて…」

言いかけて止める。


リディアの目からは今にも涙が零れそうだ。


「あぁ・・・ま、いいや…。」


「ユウリくんは、あなたをラドニアから連れてきたのですよ。

命がけでね。」

ライトはベッドの脇にある小さな木の椅子に腰掛けると、リディアに優しく言った。


「ラドニア…」

リディアは、その響きに軽い痛みを感じ、目を伏せる。


「それは聞き覚えがあるようですね。

ラドニアは、あなたの生まれ育ったところのようですよ。

そしてここは、ロトス島です。」



――ズクンッ・・・


ロトスという言葉が、訳も無くリディアの胸を打つ。
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