Ⅹ(クロス)
「あ、わ、ごめんなさい!!っていうか、気が付いたんだ!!

良かったぁ!!」


カラスは、目を輝かせてずんずんと近付いて来る。


――パシッ!

そのカラスの額にユウリの大きな手が当てられた。


「分かってると思うが、ここは病室だ・・・。

そんで、この人は病人だ・・・。」


「分かってるよぉ。

だって、昨日この人運んだの、俺じゃん。」


クックッ・・・

ライトが可笑しそうに肩を震わせる。


「リディアさん、この人はカラスくんです。

昨日、私と二人であなたをここまで運んで来たのですよ。」


「あ、ごめんなさい・・・

ありがとうございます。カラスさん・・・」

リディアはかしこまって頭を下げる。


「え、あ、ちょっとやめてくれよ!

お姫様に頭なんか下げられちゃ、俺、どうしたらいいか分かんなくなっちまうって!」


「お姫・・・様?」
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