Ⅹ(クロス)
Ⅳ. 野望の炎
激しい嵐が去った後、王宮はかろうじて見せ掛けの平穏を保っていた。
バルコニーに佇む王妃アーリアは、その身に起こった悲劇に体中の温もりを奪われながら、それでも尚、凛とした表情を崩してはいなかった。
「義姉上…」
「来ないでください!」
ハッとして振り返ったアーリアは仮初めの夫であるフェルナンドに向かって、蔑むような眼差しを投げる。
――クックックッ
「無理もない。
あなたにとって、私は極悪人だ。
あなたの夫に成りすましたばかりか、最愛の娘まで国外へ追いやった男・・・。」
フェルナンドは構わずカツカツとアーリアに近づいて行く。
そしてアーリアの足元に跪くとその頭を深々と垂れた。
「でもご安心ください。
私はあなたには指一本触れは致しませんよ。」
バルコニーに佇む王妃アーリアは、その身に起こった悲劇に体中の温もりを奪われながら、それでも尚、凛とした表情を崩してはいなかった。
「義姉上…」
「来ないでください!」
ハッとして振り返ったアーリアは仮初めの夫であるフェルナンドに向かって、蔑むような眼差しを投げる。
――クックックッ
「無理もない。
あなたにとって、私は極悪人だ。
あなたの夫に成りすましたばかりか、最愛の娘まで国外へ追いやった男・・・。」
フェルナンドは構わずカツカツとアーリアに近づいて行く。
そしてアーリアの足元に跪くとその頭を深々と垂れた。
「でもご安心ください。
私はあなたには指一本触れは致しませんよ。」