Ⅹ(クロス)
Ⅲ. 歪んだ歴史
コツコツ・・・
「お茶をお持ちいたしました。」
「入りなさい。」
アールグレイの香りを漂わせて、侍女がティーワゴンを押して入って来る。
天井まで届きそうな木製の本棚が並ぶこの部屋は月桂樹の間。
ここには、王室学を学ぶ為に必要な、膨大な数の本や資料が集められている。
本棚の脇に並ぶ机は、使い込まれてしっとりと艶を帯び、そこが王家の継承者たちの学びの場であった事を感じさせる。
侍女は、机の端に王国の紋章である鷹と盾が小さく刻印されている白いティーカップを静かに置く。
「さぁリディア様、少し休憩しましょう。
今日は大分遅刻してきた代わりに、しっかりとお勉強されましたから、さぞかしお疲れになったことでしょう?」
シルバーグレーの真っ直ぐな髪を首の中程できちんと揃えた女性がリディアの顔を優しく覗き込んだ。
「まぁ、サリダ先生ったら。いじわるね! 」
「お茶をお持ちいたしました。」
「入りなさい。」
アールグレイの香りを漂わせて、侍女がティーワゴンを押して入って来る。
天井まで届きそうな木製の本棚が並ぶこの部屋は月桂樹の間。
ここには、王室学を学ぶ為に必要な、膨大な数の本や資料が集められている。
本棚の脇に並ぶ机は、使い込まれてしっとりと艶を帯び、そこが王家の継承者たちの学びの場であった事を感じさせる。
侍女は、机の端に王国の紋章である鷹と盾が小さく刻印されている白いティーカップを静かに置く。
「さぁリディア様、少し休憩しましょう。
今日は大分遅刻してきた代わりに、しっかりとお勉強されましたから、さぞかしお疲れになったことでしょう?」
シルバーグレーの真っ直ぐな髪を首の中程できちんと揃えた女性がリディアの顔を優しく覗き込んだ。
「まぁ、サリダ先生ったら。いじわるね! 」