Ⅹ(クロス)

Ⅵ. Ⅹ(クロス)の創生

王宮の官房室。

国王となったフェルナンドの周りには、オウガをはじめとする、ラドニアの政治と経済を司る面々が集まる。

「では、オウガ、国民の王室への反感が強まっていると?」


「いかにも。国王陛下。

先日の亡き国王陛下の葬儀の混乱が、まだ後を引いているように思われます。

特にラドニアの貧困層にとっては、亡き国王陛下及びリディア様の福祉活動は大きな心の支えとなっておりました故、その影響はかなりなものかと・・・」


「貧困層など放っておけばよい。

彼らに持てる力など無いに等しいのだから。」

フェルナンドは穿き捨てるように言う。


「しかしながら、現在その貧困層はこのラドニアの過半数を占めており、決して軽視すべきではないと思われます。

しかも、その中からロトスの反ラドニア派に加担する者でも出ようものなら、我国の情勢はかなり危うくなってくるのではないか・・・と」


「ふむ。

ではやはり、先を急がねばならんな。

まずは、ロトスを落とさなくてはならない。

しかし、その前に・・・誰かリディア いや、クロスの所在を掴んだ者はいるか?」
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