Ⅹ(クロス)
サリダは、不意の質問に戸惑っていた。
王室学の中には、幾つかの約束事がある。
その中に、ラドニアの先住民族であるナユタに関する知識は、ある決められたラインを決して外れないように教える事、という決まりがあった。
そしてそれは、先代の国王亡き後、一層厳しさを増していた。
「そうですね。
リディア様も、王国の創生について知る時が来ているのかもしれません。」
サリダはその定められた規則を忠実に頭の中に反復しながら語り始める。
「昔・・・ そう500年ほど昔、此処ラドニアでは、大陸から来た人々と、ナユタ達は助け合って生きていました。」
「大陸から・・・、それは私達のことね。
東の大陸からビブロ山脈を越えて来たと聞くわ。」
「ええ。
それまで外の世界を全く知らなかったナユタ達に、大陸の人々は沢山の文明をもたらしました。
けれど、やがてお互いの民族の価値観の相違に気付く時が来たのです。」
「価値観?」
「つまり、ナユタ達は自らの古い信仰を重んじるが故に過度な文明の発達を望まなかったのです。」
「信仰って・・・」
リディアは初めて聞く、ナユタ達の信仰という言葉に首を傾げた。
「彼らの神は、私達とは異なるの?」
「ナユタ達は、原子石ジプサムを最も神聖なものとして畏れ敬っていました。
つまり、彼らにとっての神とは、ジプサムそのものだったのです。」
「ジプサムが・・・神・・・。」
「けれど、ジプサムの力無くしては、文明や産業の発達は望めない。
大陸の人々と、ナユタ達の議論は果てがありませんでした。
そして、ついにはナユタ達、先住民族が折れて、彼らは自らロトス島へと移っていったのです。」
王室学の中には、幾つかの約束事がある。
その中に、ラドニアの先住民族であるナユタに関する知識は、ある決められたラインを決して外れないように教える事、という決まりがあった。
そしてそれは、先代の国王亡き後、一層厳しさを増していた。
「そうですね。
リディア様も、王国の創生について知る時が来ているのかもしれません。」
サリダはその定められた規則を忠実に頭の中に反復しながら語り始める。
「昔・・・ そう500年ほど昔、此処ラドニアでは、大陸から来た人々と、ナユタ達は助け合って生きていました。」
「大陸から・・・、それは私達のことね。
東の大陸からビブロ山脈を越えて来たと聞くわ。」
「ええ。
それまで外の世界を全く知らなかったナユタ達に、大陸の人々は沢山の文明をもたらしました。
けれど、やがてお互いの民族の価値観の相違に気付く時が来たのです。」
「価値観?」
「つまり、ナユタ達は自らの古い信仰を重んじるが故に過度な文明の発達を望まなかったのです。」
「信仰って・・・」
リディアは初めて聞く、ナユタ達の信仰という言葉に首を傾げた。
「彼らの神は、私達とは異なるの?」
「ナユタ達は、原子石ジプサムを最も神聖なものとして畏れ敬っていました。
つまり、彼らにとっての神とは、ジプサムそのものだったのです。」
「ジプサムが・・・神・・・。」
「けれど、ジプサムの力無くしては、文明や産業の発達は望めない。
大陸の人々と、ナユタ達の議論は果てがありませんでした。
そして、ついにはナユタ達、先住民族が折れて、彼らは自らロトス島へと移っていったのです。」