Ⅹ(クロス)
Ⅷ. 息づく想い
「リディアさん、疲れただろう。
そこの突き当たりの部屋で休んでおいで。
夕飯の時に出てくればいいからさ。」
カラスの母は、そう言って広い廊下の奥を指す。
「あ、はい。
でも私、お世話になるばっかりで・・・なんだか申し訳くて・・・
あの・・・何か私に出来る事、ありませんか?」
「何言ってんだい。病み上がりじゃないか。
気にせずゆっくりしておいで。
だいたい、そのか細い手に仕事なんかさせられないよ。」
カラスの母は、陽気な声でカラカラと笑う。
「あ・・・そうか・・・そう、ですよね・・・。
私には、機(ハタ)織りくらいしか取り柄が・・・」
「リディアさん、機織りが出来るのかい?!」
途端にカラスの母親の顔が輝く。
リディアは確かめるように両手を見て
「ええ。
機織りだけは得意・・・だと思います。
この手に、記憶がありますから・・・」
そう言ってカラスの母親を見上げた。。