Ⅹ(クロス)
「こらっ!」
「痛てっ!」
扉の隙間から、そっと中をうかがうカラスの頭に、母親の平手が飛ぶ。
「お前は覗いてないで、畑仕事でもしておいで!!」
「ちぇーっ!」
カラスはほっぺたを膨らませながら、渋々とその場を後にした。
(全くねぇ。
不思議な子だよ。
たった一週間でこのロトスにしっくり溶け込んじまって・・・。
あの機械バカのカラスでさえ夢中になっちまうんだからさ・・・。)
立ち去るカラスの後姿を眺めながら、カラスの母は、くくっとその大きな口元を押さえた。