Ⅹ(クロス)
薄暗い地下牢。
太い鉄格子の向こうには、一人の男が灰色の石の壁にぐったりと凭れ掛かっている。
浅黒く日焼けした筋肉質の体には、あちこちに血の滲む傷跡や打撲の跡があり、憔悴した顔には全く生気が感じられない。
焦点の合わないその瞳は、ぼんやりと宙を見つめている。
――― カチ
突然、男の頭上に垂れている、小さな白熱灯が灯される。
「・・・。
何ということを・・・。」
男がぼんやりと視線を移したその先には、黒い衣装に身を包んだ王妃、アーリアの姿があった。
アーリアは、手に持った鍵の束から細長い鉄色の鍵を選んで手早く牢の扉を開け、男に駆け寄る。
「さぁ、早くここから出るのです。」
アーリアは男に黒いマントを被せた。
男は、虚ろな目でアーリアを見、力なく首を横に振る。
太い鉄格子の向こうには、一人の男が灰色の石の壁にぐったりと凭れ掛かっている。
浅黒く日焼けした筋肉質の体には、あちこちに血の滲む傷跡や打撲の跡があり、憔悴した顔には全く生気が感じられない。
焦点の合わないその瞳は、ぼんやりと宙を見つめている。
――― カチ
突然、男の頭上に垂れている、小さな白熱灯が灯される。
「・・・。
何ということを・・・。」
男がぼんやりと視線を移したその先には、黒い衣装に身を包んだ王妃、アーリアの姿があった。
アーリアは、手に持った鍵の束から細長い鉄色の鍵を選んで手早く牢の扉を開け、男に駆け寄る。
「さぁ、早くここから出るのです。」
アーリアは男に黒いマントを被せた。
男は、虚ろな目でアーリアを見、力なく首を横に振る。