Ⅹ(クロス)
Ⅹ. ジプサムの申し子
ライトは、夜中の11時を過ぎた頃に現れた。
バル・ヴィバックはその時刻になってもまだ、海の男たちの笑い声や、陽気な歌声で溢れていた。
ユウリは、ライトを見つけるなりその腕を取り、耳元で囁いた。
「悪いな。話は下で聞く。
ジャコスも同席するが・・・いいか?」
「ええ。
構いませんよ。
むしろその方が話しが早いでしょう。
彼は、シュラムの事を君より多少は知っているようですしね・・・。」
「あのさ・・・、ライト。
俺、お前と知り合ってからもう5年も経つけどさ、そのカチンとくる話し方、ぜんっぜん変わんないのな。」
ライトは、下を向きながら、あははと小さく笑って答える。
「習慣ですね。
薬師は、常に物事に冷静でいなくてはならない。
自分の感情を抑えなくては、色々な事が見えてこないのです。」
「あぁ、ま、確かにお前がカラスみたいだったら、患者は不安になるけどよ。」
ユウリはそう言いながら、カウンターの中のブロスに軽く目配せし、地下へ降りる階段の扉を開けた。
バル・ヴィバックはその時刻になってもまだ、海の男たちの笑い声や、陽気な歌声で溢れていた。
ユウリは、ライトを見つけるなりその腕を取り、耳元で囁いた。
「悪いな。話は下で聞く。
ジャコスも同席するが・・・いいか?」
「ええ。
構いませんよ。
むしろその方が話しが早いでしょう。
彼は、シュラムの事を君より多少は知っているようですしね・・・。」
「あのさ・・・、ライト。
俺、お前と知り合ってからもう5年も経つけどさ、そのカチンとくる話し方、ぜんっぜん変わんないのな。」
ライトは、下を向きながら、あははと小さく笑って答える。
「習慣ですね。
薬師は、常に物事に冷静でいなくてはならない。
自分の感情を抑えなくては、色々な事が見えてこないのです。」
「あぁ、ま、確かにお前がカラスみたいだったら、患者は不安になるけどよ。」
ユウリはそう言いながら、カウンターの中のブロスに軽く目配せし、地下へ降りる階段の扉を開けた。