Ⅹ(クロス)
「眠れないのか?」

ユウリは、自分の隣の芝生を顎で指しながら訊ねる。



リディアはユウリの隣に小さくしゃがむ。




「夢を・・・ 見たの。」


「夢?」


「誰かが、私に助けを求めてる夢・・・。」


「何か、思い出したのか?」


「ううん。 違うわ。

でも・・・、分かったの。

私は、シュラムの村に行かなくちゃならないって・・・。」


ユウリは、思わずリディアの顔を見る。


さっきヴィバックで聞いた、父親アグリからの警告が甦る。

『シュラムが狙われる・・・。

シュラムを守らなければ、もう先は無い。』

その言葉はまだ、はっきりと耳の奥に残っている。

本当は・・・だからここに足が向いたのだ。



リディアは、俯いてじっと唇を噛んでいるように見える。

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