Ⅹ(クロス)
「よいか、オウガ。

起きてしまった事をここでとやかく言った処で、もうどうする事も出来ないのだ。

仮に今ここで王妃を処刑したとしても、状況は悪くなるばかりだ。

我々にはもう、後始末をしている暇はない。

一刻も早く、戦いの準備を整えるのだ。

私に、策がある。

あの男が外にいるとなれば、逆にその方が都合がよい。

情報を攪乱させ、敵を欺くのだ。」


「か・・・畏まりました。

国王陛下がそこまでお考えなら、私の申し上げる事はございません。

早急に軍の者に戦いの準備を万全にせよと、申し伝える事といたします。」


オウガは手を胸に当て、恭しく頭を下げた。

そして、もう一度そのギラギラとした大きな目をフェルナンドに向ける。


「して・・・国王陛下、その策とは・・・?」


「それはこれから説明する。軍の幹部を全てここへ集めろ。」


「畏まりました!!」

オウガはもう一度頭を垂れると、足早にそこを立ち去った。

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