Ⅹ(クロス)
「だいたい話は分かりました。
ただ、いいですか、リディアさん。
シュラムまでは車を使っても丸二日は掛かる。
しかも途中、深い森を抜けなくてはならない。勿論そこは歩かなくてはなりませんよ。」
「大丈夫です先生。 私、大丈夫ですから!」
リディアの訴えるような碧色の瞳に、ライトは思わず目を逸らす。
(…同じだ…。
あの時の母さんと、同じ目をしている…。)
「多分…そう言うだろうと思っていました。
だったら僕の許可を得るまでもない。」
ライトは苦笑しながらリディアの腕を取る。
「…うん。
気の流れもどんどん良くなってきている。問題は無いでしょう。」
ライトはそっとその手を置き、もう一度リディアの目を真っ直ぐに見る。
「でも、一つだけ約束してください。
もし、あなたに抱えきれない程の事があったら、直ぐに連絡をすると。
決して一人で抱えては駄目ですよ。いいですか?」
「はい。ライト先生。」