Ⅹ(クロス)

「ぅわー!!
リディアさん、いいじゃんそれー!!」

カラスが顔を輝かせる。


そこには、セルリアンブルーの衣装に身を包んだリディアが立っていた。

短めの半袖ブラウスに、ふくらはぎあたりまでの細身のパンツ。

所々にロトス独特の刺繍が施されている。


「これ・・・、おば様が作ってくださったの!」

長い黒髪をポニーテールに結わえたリディアは嬉しそうにくるりと後ろを振り向く。

束になった髪がふわりと揺れる。


「スカートじゃ動きにくいだろうと思ってね。ロトスの民族服をアレンジして作ってみたのさ。

全く、リディアさんは何を着ても似合うねぇ。」


「おば様・・・、私の為にこんなにまでしていただいて・・・

私、ほんとに何とお礼を言ったらいいのか・・・」


「お礼を言いたいのは、こっちの方だよ。

ココが機織りに夢中になっちまってね。

あれで、ちっとは女の子らしくなるんじゃないかね。」

カラスの母は戸口の中を親指で指すと、カラカラと笑った。


戸口からココが飛び出してくる。

< 236 / 401 >

この作品をシェア

pagetop