Ⅹ(クロス)
「ぅわー!!
リディアさん、いいじゃんそれー!!」
カラスが顔を輝かせる。
そこには、セルリアンブルーの衣装に身を包んだリディアが立っていた。
短めの半袖ブラウスに、ふくらはぎあたりまでの細身のパンツ。
所々にロトス独特の刺繍が施されている。
「これ・・・、おば様が作ってくださったの!」
長い黒髪をポニーテールに結わえたリディアは嬉しそうにくるりと後ろを振り向く。
束になった髪がふわりと揺れる。
「スカートじゃ動きにくいだろうと思ってね。ロトスの民族服をアレンジして作ってみたのさ。
全く、リディアさんは何を着ても似合うねぇ。」
「おば様・・・、私の為にこんなにまでしていただいて・・・
私、ほんとに何とお礼を言ったらいいのか・・・」
「お礼を言いたいのは、こっちの方だよ。
ココが機織りに夢中になっちまってね。
あれで、ちっとは女の子らしくなるんじゃないかね。」
カラスの母は戸口の中を親指で指すと、カラカラと笑った。
戸口からココが飛び出してくる。