Ⅹ(クロス)
「アタシはもう、女の子らしいですけど?」

ココはほっぺたを膨らませながら近付くと・・・

「リディアさん、昨日はほんとにありがとう。

それであの・・・これは・・・」

ココは、手にした反物を差し出した。

それは、闇の中で薄っすらと青緑色の光を放っている。


「あ、いけない。私ったら、部屋に置きっぱなしで・・・。

あのそれ、良かったら何かに使ってください。

勝手に糸、使っちゃいましたけど・・・。」


カラスの母は、それを手に取ると一瞬戸惑いの表情を見せる。


(この力が、この子を動かしているのかね・・・

ココと変わらない、普通の女の子なのにさ・・・

辛いことだって・・・あるだろうに・・・)


カラスの母は、ぎゅっとリディアを抱き締める。


「おば様?」


「いいかい、何かあってもここへ帰ってくればいいんだ。 

そう思って行っておいで。

ここは、リディアさんの2番目の我家だよ。」


「・・・はい。」

リディアは声を詰まらせながら答えた。

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