Ⅹ(クロス)
Ⅴ. カナリアの幻影
リディアを乗せたジープがカラスの家を出てから、半日が過ぎようとしていた。
昼間、容赦なく照り付けていた太陽はその輝きを弱め、空一面に広がる真綿のような雲を橙色の濃淡で染め上げていく。
赤い大地のあちこちに聳える赤褐色の岩は、長い大きな影を落とす。
時折吹く強い南風は、大地の乾いた土を巻き上げ、深緑の木々の枝を畝るように揺らしている。
「リディアさん、大丈夫? お尻、痛くない?」
カラスはバックミラー越しにリディアの様子を伺う。
「俺は痛てェんだけど・・・」
「ユウリに聞いてないよ。」
「全然平気よ!
大地の色がとても素敵で、風がすごく気持ちよくて、お尻の痛さなんか何ともないわ!」
「やっぱり痛いんだ・・・。」
「だから、痛てェんだって!」
昼間、容赦なく照り付けていた太陽はその輝きを弱め、空一面に広がる真綿のような雲を橙色の濃淡で染め上げていく。
赤い大地のあちこちに聳える赤褐色の岩は、長い大きな影を落とす。
時折吹く強い南風は、大地の乾いた土を巻き上げ、深緑の木々の枝を畝るように揺らしている。
「リディアさん、大丈夫? お尻、痛くない?」
カラスはバックミラー越しにリディアの様子を伺う。
「俺は痛てェんだけど・・・」
「ユウリに聞いてないよ。」
「全然平気よ!
大地の色がとても素敵で、風がすごく気持ちよくて、お尻の痛さなんか何ともないわ!」
「やっぱり痛いんだ・・・。」
「だから、痛てェんだって!」