Ⅹ(クロス)

Ⅵ. 聖なる光りの中で・・・

「おかしいとは思わないか?」

ジャコスは甲板にいる隊員に問う。


「ええ。そうですね。 奴ら、全く動こうとしない。

夜明けを待っているのか・・・それとも威嚇しているだけなのか・・・。」


「あれだけの装備で威嚇は考えにくい。

だが、シュラムに行くとすれば、ここから西南の方角に進路を取っている筈だな・・・」


ラドニアの軍用船は、カルディナ海峡の水面に不気味な黒い影を浮かべる。


「しかし、もう12時間か・・・。」

ロトスの船の中には、僅かな焦りが見え始める。


「政府からの連絡も無いのか?!」


「ええ。ありません。」


「クソッ! どうなってやがる!!」


紺碧の空は少しずつその明るさを増し、洋上に揺蕩う水鳥の白い姿が朧げに見え始める。

ジャコスは東の空に目を遣る。

水平線が俄かに白く輝きだし、薄い雲の隙間から眩しい陽の光りが溢れ出す。




その時・・・


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