Ⅹ(クロス)
Ⅶ. 赤い襲撃
(もう、どれくらい歩いただろう・・・。)
カラスは鬱蒼と生い茂る木々の間から、薄青に透き通る空を見上げる。
(俺・・・、ほんとにリディアさんと一緒に来て良かったのかなぁ・・・。
やっぱ、足手まといだったりして。)
カラスは溜息をついて、また視線を前に向ける。
前方には光りの柱が、未だ光りを失わず煌々と聳え立っている。
(あの光りの柱・・・、リディアさんがこの森にいるからあそこに立っているんだよな。
ずっと昔ばあちゃんから聞いた事がある。
ジプサムに近付く者あらば、カルマの森に光りの柱が立つって・・・。
俺は、この森に入ってくるべきじゃなかったのかな。)
徐々に重くなる体は、歩む歩幅を余計に狭くする。
その行く手には、恐らくユウリがやったのであろう、束になって掻き分けられた木々の跡が残っていた。
(俺は、ジープで連絡でも待ってた方がいいんじゃないか?
引き返そうかな。)
カラスがそう思って僅かに体を後ろへ向けた、その時・・・
バラバラというプロペラ音がカラスの耳に入って来た。